今、高齢者は大変です。三重苦(認知症・年金不足・社会保険等の負担増)に加え、コロナウィルスにも直撃されています。コロナウイルス感染症では70歳を超えると重症率、死亡率が急増するといわれ、穏やかではいられません。
まさに前門の虎(認知症)後門の狼(年金不足)に加え、カラスに餌を狙われ(社会保険等の負担増)、さらにウィルスに命まで狙われる事態となっています。
ここでは認知症問題も病気としての側面ではなく経済の問題として取り上げますので、三重苦問題は全て経済問題として取り上げ解決策を提案させて頂きます。
先ず年金不足問題。年金不足とは、生活費の不足のことです。人生100年時代などど言われて喜んでばかりはいられません。
高齢者夫婦世帯(65歳以上の夫と60歳以上の妻の二人世帯)においては、それほど贅沢をしなくても今の年金では毎月5万4千円生活費は不足するといわれてます。生活費の不足分を貯蓄でカバーしていくと退職後30年で2000万円貯蓄を食いつぶすことになるから大変です。貯蓄が底をつくことを「資産寿命が尽きる」と言います。2000万円の貯蓄がないご家庭はもっと早く資産寿命が尽き、厳しい老後が待ち受けているという問題です。昨年、金融庁のワーキンググループが取り上げたこの問題は大きな反響を呼びました。実はもう一つ厄介な問題があります。資産を持つ方が認知症を患うと成年後見人を付けないと凍結された預金を下ろすことができなくなります。仕方なく後見人を付けて30年経ちますと成年後見人に支払う累計報酬額は約1000万円(初めに金融資産2000万円保有していると毎月3万円程度の成年後見人への報酬が発生します。)掛かりますので、年金不足金額は、2000万円ではなく3000万円になってしまいます。
貯蓄は、最早30年すらもたないことになります。
多くの高齢者は、生活費の節約、医療費の節約など節約による解決考えておられますが、年金を取り巻く環境は一向に改善せず、むしろ政治は、就業者世代の社会保険等の負担増に対する不満の方により耳を傾けようとしているように見えます(全世代型社会保障改革)。そうであれば、節約しても再び三度、社会保険料等の負担増が襲うので節約するだけでは、窮乏化が進むにもかかわらず、年金不足問題の解決は逃げ水のように遠のいていくものと考えられます。
高齢者の三重苦(認知症・年金不足・社会保険等の負担増)問題を考える。