コロナショックの直撃と高齢者の三重苦(その1)-前門の虎(認知症)

高齢者の三重苦(認知症、年金不足、社会保険の負担増)に加え、コロナショックが高齢者を直撃しています。
コロナは、70歳を超えると重症化率、死亡率共に急増します。
また認知症罹患者はコロナに無防備です。わからないうちに感染し、感染してもわからない方もおられます。心疾患、脳疾患、誤嚥性肺炎など高齢者に多い病魔が襲い救急搬送されても、今は、コロナのために受け入れ拒否が続出、病床不足も深刻です。

高齢者のコロナ対策のナンバー1は、外に出ないことです。しかしこれが高齢者にとっては新たなリスクを招いています。
①運動不足による機能低下②外部と接触がなくなるため認知機能の低下、「フレイル」といわれる状態です。通院自粛による持病の悪化も心配です。さらにコロナが厄介な点は、健常者の支援が受けにくくなることです。健常者自身もコロナのリスクに晒されています。もともと高齢者は新たな環境に適応する能力が低下している方が多い上に、コロナによる社会の支援力の低下が加わり、社会的隔離による健康状態の悪化は、短期間のうちに進んでいるものと思われます。

しかしコロナがなくても既に高齢者は大変なのです。高齢者の最も大きな悩みは、「健康とお金」です。「健康寿命と資産寿命」長生きすると資産寿命が先に尽きてしまうかもしれない。健康問題も突き詰めるとお金の不安に逢着します。ここで取り上げる「高齢者の三重苦」はお金の問題です。

右のグラフをご覧ください。
65歳以上は6人に1人が認知症と言われますが、実は70歳までは、それほど大きな比率ではないのです。
しかし70歳を過ぎると、急速に増加します。男女共に70歳から85歳に至までに9倍(男性3.9%→35%、女性4.9%→43.9%)に跳ね上がっていることが判ります。
昨年の中小企業白書によると我が国の中小企業の社長の最多年齢はほぼ70歳です。つまり最も多くの社長さんが、認知症急増の入り口に立ったという事になります。

出典:国立国会図書館調査と情報-ISSUE BRIEFNo.846 認知症対策の現状と課題

改正民法の3条の2(新設)では
「法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は無効とする」と規定されています。
無効となる「法律行為」とは具体的に何を指すのでしょうか?
「預金を下ろす」「不動産を売る」「海外旅行契約をする」「誰かに贈与する」「裁判をする」「保険金を受け取る」等々は皆、法律行為です。では「認知症になると私のお金はどうなるの?」
また社長さんの業務は法律行為の塊です。法律行為ができなくなると「会社は一体どうなるの?」
「なってから考えても遅くない」のでしょうか?
それとも、
「備えは全てお元気なうちにしておく必要がある」のでしょうか?

次回からはその答えと解決策を、お話して参りたいと思います。