日本株の下げがキツイ。米国の利上げ問題、テーパリング、債務上限問題、石油など一産品の値上がり等インフレ懸念、そして中国恒大集団などの債務危機等々、外国発の悪材料が目白押しで、9月30日から10月6日までの各国株式は、とも軟調地合いである。しかしよく見ると日本株の下げだけ、圧倒的に大きい。難問山積のNYダウは、34390.72ドルからUP/DOWNを繰り返して、34314.67ドルと結局⊖0.23%、同様に独⊖1.12%、英国⊖0.43%であるのに対して、日経平均は、29452.66円から27528.87円⊖6.53%と岸田総裁選出から5日連続安、まさに「岸田ショック」とも言うべき事態となっている。
「株価は市場で形成されるべきもの」教育問題専門の松野新官房長官の下げ止まらない株価へのコメントである。岸田首相も内閣支持率の低さにはコメントがあったが、株価に関しては、反応すらない。政権首脳は、皆さん、株安はどこ吹く風状態。
しかし、海外の悪材料でカムフラージュされているが、日本株の独歩安の原因は、当然日本にある。株安の元凶は、輪郭すら見えない「 岸田内閣の経済政策に対する市場の懸念」ではないのか?アベノミックスから「新しい資本主義」へ、新所得倍増計画、数十兆円の経済対策など 総裁選向けのキャッチフレーズはあったが、ハッキリしない。アベノミックスは、中間層の窮乏化、貧富の差を拡大したが、株価は大きく上昇した。それを変えるのか?変えるならどう変えるのか?高度成長下だったからこそ、成し得た池田所得倍増政策であった。宏池会のルーツともいえる成功体験である。しかし低成長下で中間層の所得を倍増させるとなれば、分配率を引き上げるということでしかないのではないか?そうなれば、企業の利益は減るのではないか?数十兆円と言うが、いくらなのか?30なのか80なのか?そして具体的に、どこにどのくらい出すのか?宏池会の原点は、池田、大平、宮澤と旧大蔵省出身政治家の派閥であり、財政均衡論者の集まり、岸田氏も財務省のポチといわれた御仁だ。総裁選の中で消費税は上げないと明言した。しかしコロナで膨らんだ財政赤字を、企業増税、資産増税などで均衡させようなどと考えているのではないだろうか、財政均衡論者に押されて、バブル退治を始めるのではないか心配ではある。まさかそこまでは考えていないだろうが、市場は、ハッキリしないと、色々と心配するのである。
人事は済んだが、国会、選挙と政治家として精力を削がれる日程が続く、しかし政権担当者として国家国民のための政策には空白は許されない。急がれるのは、コロナ対策だけではない。
株価を軽く見ると手痛いことになると歴史は証明している。選挙も大事だが、具体的な経済政策を求める市場の声にも、お得意の耳を傾けて頂けないものだろうか?
日本株、「岸田ショック」を見逃すな!