出口の向こうへ(3)-ブラックエレファントの逆襲

戦後インフレは、立替払いされた戦費を公債を媒介とした紙幣の増発により、解決しようとすることによって発生します。
コロナ戦争においても、出口の向こうには、その戦後処理の問題が、大きく横たわっています。
一律給付金を始め、休業補償金、家賃補助、学費補助、無利子無担保融資等々形はどうであれ、財政の大盤振る舞いが起きています。それも世界的規模で。
大盤振る舞いはよいが、その帳尻は誰が合わすのか?
落語の「花見酒」のようにお互いが同じお金をやり取りして、花見用のお酒を二人で飲んでしまう野放図なバラマキ政策にはどのような結末が待っていて、最後、それを誰が決済するのか?

国には、二つの選択肢があります。「増税かインフレか」
増税のような力わざは、一旦タガを失った政府には、最早、行う気力も体力も残っていません。
こうして、
無償先取りの負担は、インフレという形で労働者と金利・年金生活者に最後の決済をさせる方向となるものと思われます。

インフレーションとは、商品の流通に必要な金量の表示する価格以上の額面の不換紙幣が強制的に流通に投ぜられることによって起きる、諸価格の一般的騰貴をいいます。戦後は爆弾によって、現在はコロナによって破壊された生産現場が拍車をかけることになります。特に生活必需物資を中心として。
したがって、労働者は、生活に必要な賃金の上昇は常に諸価格の一般的騰貴の後追いでしか実現されず、本来手にするはずの労働の対価の一部を財政赤字の穴埋め(インフレによる公債の紙切れ化)ために収奪されることになります。また金利・年金生活者は労働者の賃金のように遅れて上昇する収入すら持たないため、諸価格の一般的騰貴によって、もっと直接的にその老後の貯えを奪われていきます。
今も超低金利ですが、物価が上がらず、むしろ下がる物もあることで、金利・年金活者の生活はかろうじて保たれてきました。
その微妙で平和な均衡は、もうすぐ破られようとしています。

高齢者は、
前門の虎(認知症)後門の狼(年金不足)に加え社会保障費負担増というカラスにも襲われている中において、
新たに、コロナインフレというブラックエレファントに踏み潰されかねない危機にあります。

これから切り抜ける方策を考えていきたいと思います。