保佐人、補助人急増に注目!-国民は、Nothing about us without usに目覚めつつある-

近年、成年後見人が伸び悩み、保佐人、補助人制度の利用が急増している。

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グラフにあるように、成年後見人開始の審判は平成18年の29380件をピークにずっと低迷したままである。同じく任意後見人も横ばいが続いている。保佐人、補助人の動き

とは、全く対照的である。 この間、政府、裁判所、地方自治体、弁護士会などが官民挙げて成年後見人の利用促進の大キャンペーンに取り組んでいるにもかかわらずである。
・「成年後見制度の利用の促進に関する法律」が新たに制定され(平成28年4月 
15日に公布、同年5月13日に施行)
・平成29年3月24日に成年後見制度利用促進基本計画が閣議決定
・平成30年4月より厚生労働省は成年後見制度利用促進室を設置
法律まで作って、利用促進を煽ってみたが、逆に、昨年、一昨年と連続で減少した。
一方で、認知症有病者の数は増え続けている。MCI(軽度認知障害)を含めると優に1000万人を超えていると言われている。その受け皿である成年後見人が低迷を続けているのはなぜだろうか?
おそらく、その答えは、「Nothing about us without us!(私のことを私に勝手に決めないで!)」(障害者の権利条約のスローガン)に国民が目覚め始めたということではないか。
わが国の成年後見制度は、成年後見人が有料で、被後見人の財産を独占的に管理する制度に近い。つまり、「勝手に決める」制度であることに、国民が「NO」を突き付けているのである。
保佐人なら、民法23条に定める10個の重要事項について保佐人の同意を要することになるが、本人の意思は先に来る。保佐人は預金なども単独では動かせない。補助人はそもそも本人の同意が無ければ審判に付されることはない。やって欲しいことだけ補助人の同意を求めることにすればよいのである。
保護という観点からは、不十分かもしれないが、後見人に好き勝手されないで済む。報酬は、表向きは成年後見人と同様の仕組みであるが、そもそも管理まで出来ないので、金額が増えたから手数料が増えるという後見人と同様の仕組みは取りづらく、月額2万円程度で済むケースが多い。よって弁護士等は寄り付かず、親族が選ばれる可能性が高い。被保佐人となっても取締役の欠格事由から削除されたので、保佐人の同意があれば、本人の承諾で取締役に復帰できる。ならば、保佐人でよいではないかとなる。
成年後見人よりは、ましだから、セカンドベストでいい。かも知れないが、
家族信託を利用すれば、もっとすっきりと新しい世界が見えてくるのではないかと思う。