トランプの危険な冒険と株価

 トランプ大統領による、鉄鋼に25%、アルミに10%の関税を課するという発言は、世界を駆け巡り、中国、EUなどが即時に反対を表明しました。世界の株価はこれに敏感に反応しています。
 第二次世界大戦後の平和と経済の発展は、米国主導のIMF・GATT(現在はWTO)体制と国際連合によって維持されてきました。通貨の引き下げ競争や関税の報復合戦が経済を縮小させ、ブロック経済を招いたことが、戦争の原因の一つであるとの反省から始まったものでした。その他政治的にも戦争の反省に立って、核拡散の防止、核軍縮、移民の受け入れ、中東平和への努力など米国が中心となって国際社会が自由と民主主義に基づく秩序作りの努力を、不十分ながらも続けてきたことが、平和と貿易・経済の発展による繁栄を概ね世界にもたらしたと言っても過言ではありません。そしてその恩恵を最も受けたのも米国でした。
 それらが、こともあろうに米国の大統領によって次々に破壊されようとされています。経済政策以外にも、エルサレム首都発言は中東和平に影を落とし、2009年のオバマプラハ演説と明らかに矛盾する小型核ミサイルの活用方針は、ロシアの新型兵器開発を刺激しています。そうした観点から世界を見渡すと、プーチン、金正恩、習近平、アサドなどは、スターリン、ムッソリーニ、ヒトラーなどに似て見えてきます。しかも米国はルーズベルトではなくトランプであり、第二次世界大戦前夜より危険な状況ともいえます。市場はそうした危険を感じていると思われます。
 トランプ氏の危険な冒険を、止めさせることができるか米国の良識と国際社会の努力が試されています。株価は、当面 その動向によって一喜一憂が続くものと思われます。
 このような時に、資産運用はどうすればよいのか、特に中高年の皆様にお伝えしていきたいと考えています。