「人生の最後の3日間に中等度から重度の痛みを持ちつつ死を迎えている」

これは、選択4月号の「不養生のすすめ」で紹介されている「コロンビア大学医療センター緩和医療サービス C.ブリンダーマン所長らの報告書」の中の一節です。
これは、コロンビア大学医療センターに入院しているがん患者の40%が激しい痛みを持ちつつ亡くなっているという報告です。
    因みに我が国の死亡原因の約29%が、がんによるもので、断然1位です。2位は心疾患で約15%、3位は肺炎9%となっています(平成28年人口動態統計)。選択の同記事の著者大西睦子医師によると「1986年「WHO方式がん疼痛治療法」ガイドライン提唱以降、がんの痛みの管理は劇的に改善したが、(中略)20~30%のがん患者は痛みから解放されていない」といいいます。正に死の苦しみは、実在しています。がんになって余命が幾ばくも無いとなれば、安らかに死にたいと思うのは、私だけではないのではないかと思います。
 医療は、明確な本人の意思表示がないと、基本的には、どこまでも命を延ばす方向性を持っています。またそうしないと刑事訴追の可能性もゼロではありません。
「寿命が縮まってもいいから、もう余命があまりないなら、せめて安らかに死にたい」その思いは、尊厳死宣言書やリビングウイルに明確に残さないと、この分野には忖度は通用しませんから。