出口の向こうへーインフレ、大倒産、大失業(2)トヨタの警鐘

昨日トヨタの決算発表がありました。来期はコロナショックが直撃し売上2割減、販売台数15%減、営業利益79.5%減と予想を出しました。ホンダは来期は未定をしたのとは対照的でした。なぜトヨタは敢えて予想を出したのでしょうか?

豊田社長はこう述べています、「危機的な状況だからこそ、今わかっていることを正直に話し、1つの基準を示すことは必要だ」正論ですが、そのあとの発言がその意図を物語っています。「基準があれば、裾野が広い自動車産業の関係各社が何かしらの準備ができるのではないか」つまり、トヨタの持つ裾野の広いサプライチェーンとその全ての従業員向けのメッセージです。
「これだけ厳しいのだから、覚悟してね」という本音が見えます。
かつて「乾いた雑巾をさらに絞る」といわれたトヨタの本領発揮の瞬間です。

トヨタが鳴らした警鐘は、日本の大メーカー全ての経営者に鳴り響いたものと思われます。
これから、それに呼応して、
締め付け、リストラ、生産調整、下請切り、工場閉鎖等々が容赦なく系列、下請け、孫請けその他の会社とそれらの従業員に津波のように襲いかかってくるのではないか。
大倒産・大失業時代の悪夢がよぎります。

販売低迷の予想が、生産調整を生み、失業に直結します。一方で政府は無秩序に財政赤字を拡大していく。
コロナは、人の命を直接奪うだけでなく、経済を破壊して間接的にも人命を奪っていく力を秘めています。
生産過程を破壊し、財政規律を雲散霧消させます。もう誰も財政支出に文句はつけません。
それどころか、給付金・補助金・助成金の創設を与野党競うように提唱しています。

典型的な不況下のインフレ(スタグフレーション)の発生前夜を見る思いがします。
これからはマスク、消毒液というボトルネックだけでなくだけでなく、あらゆる生活必需品に値上がりが波及することへの準備が必要です。かつては、石油の値上がりを原因として狂乱物価と言われたインフレがありました。現在は石油価格は暴落状態です。
これは、コロナが様々な生産を破壊している証左です。不況とインフレの混在。今回のインフレは、生産が破壊されては消費者が困る物、つまり生活必需物資が中心で順次ボトルネックとなって上がっていきます。戦後インフレと同じプロセスです。

大倒産・大失業に加え、インフレの覚悟も豊田さんは求めたのかも知れません。

「生活物資インフレ」と「超金融緩和」、「財政赤字垂れ流し」これらは、すべて高齢者・年金生活者を直撃します。
高齢者・年金生活者は①生活物資の値上がりに為す術がありません。②超低金利は金利が無くなること、③財政赤字は高齢者の社会保障の削減と負担増をもたらします。