9月入学問題は文科省と各事務局に任せ、知事が今する仕事は、日々失われていく県民の命を如何に救うかに集中すべきです。
平時は「おらが国自慢」「見識自慢」でよいが、
今は非常時、全国知事会においては、お互いの資源を融通し合う議論をすべきです。
国挙げての一大事です。医療資源に余裕のある県は、近隣を支援し、余裕のない県は頭を下げて謙虚に支援をお願いする。
各知事はステーツマンシップを発揮すべき時です。
都道府県はイロイロです。死亡者急増の県から、一人もいない県まであります。しかし命に国境も、ましてや県境もありません。現在は、幕藩体制でも、戦国時代でもありません。いや戦国時代でも「敵に塩を送った」武将がいました。
東京で死人が出ても、死者がいない県は他人事として見ていてはならないのです。「沙漠のダチョウ」です。
放っておけば、いずれ感染拡大の波は全国に波及します。コロナウイルスは県境を意識しません。いま感染者の多い県を支援すべきです。それが、自らの県の防波堤になるからです。
「わが県には来ないでください」「東京の学生は帰省しないでください。帰省しない学生にはコメを送ります」
観光客が来ないように、名所となった見事な花も切り落とします。普段は「来てくださいのあの手この手」の各県が、
この状態です。
まさにモンロー主義、アメリカ第一主義の弊害が日本人の心に知らない間に巣くっていたのかも知れません。
とはいえ、これらは「県民を守る」という観点からは、感染者の少ない県としては、ある程度やむを得ないことと理解できます。
しかし、行き過ぎてはいけません。行き過ぎた県モンロー主義はいつか必ずしっぺ返しを受けます。ふるさと納税、別荘、名産品、観光当然影響があるでしょう。大事なことは、来訪謝絶の一方で、各県が協力することを忘れてはならないという事です。
コロナ問題の対応において、知事の能力格差が表面化しています。まさに「疾風に勁草を知る」です。
むしろ国をもリードする知事もいれば、おろおろとして後追いでしか対応できない知事もいます。
しかし個々の知事力のアピールを競うのは、第一ラウンドでのこと。
第二ラウンドは、「全国の知事が、いかに己を捨て、国全体を見据えて国や他県と協力できるか」というステーツマンシップの
発揮が競われることになるべきです。
都道府県はイロイロです。平時は、それがまた魅力なのです。しかしいまの命の問題の視点から見ると、10万人当りで医者の数は、多い県と少ない県では、2倍以上差があります、病床に至っては3倍、感染者病床は5倍以上の差がある。ECMOや人工呼吸器なども差があります。コロナはその差の通りにハンディをつけて襲いかかってきてはくれません。いやむしろ、足りない県に集中して攻撃が行われている感すらあります。以下のデータはそれを見事に示しています。
感染者数 感染症病床・病床数(少ない順)(10万人当り)
1 東 京 3,961 1 神奈川 0.8 1 神奈川 811.4 感染者の多い県ほど、病床が少ない。感染者病床も少ない。
2 大 阪 1,523 2 千 葉 0.9 2 埼 玉 856.8 経済力が強いため威張っていた都府県が今、呻吟しています。
3 神奈川 965 3 大 阪 0.9 3 愛 知 895.7 それでも立場を忘れ、経済弱小県に上から目線の知事がいます。
4 埼 玉 823 4 埼 玉 1.0 4 東 京 927.4 今は、役に立たないプライドは捨て、県民を救うため膝を折って
5 千 葉 793 5 愛 知 1.0 5 千 葉 954.4 医療資源に余裕のある県の応援・支援をお願いすべき時です。
6 北海道 650 6 東 京 1.0 6 滋 賀 1015.4 第二ラウンドは、県民のために頭を下げられる知事が優秀な知事と
7 兵 庫 629 7 兵 庫 1.0 7 岐 阜 1017.5 いう評価となります。
8 福 岡 615 8 宮 城 1.1 8 静 岡 1049.2 また、頭を下げられた知事は、それにどう応えるかで、鼎の軽重を
9 愛 知 477 9 広 島 1.1 9 茨 城 1072.5 問われることになります。「情けは人の為ならず」それがわが県民を
10 京 都 309 10 静 岡 1.3 10 栃 木 1077.3 も救うことにも繋がるのですから。
39 島 根 22 47 島 根 4.4 47 高 知 2551.6 東洋経済オンライン4.29、 厚労省H30医療施設動態調査の概況
医師の数(下位県) 医師の数(上位県)(10万人当り)
1 埼玉 176.4 1 徳島 346.7 11 島根 301.5 関東の各県は医師が足らず、病床も足らないのに感染者は急増し
2 茨城 197.5 2 京都 341.5 12 石川 300.1 ています。埼玉、千葉、神奈川は医療崩壊寸前です。
3 千葉 201.2 3 東京 328.4 13 香川 296.5 そのための切り札は、臨時病院の創設ですが、臨時病院を作っても
4 新潟 210.5 4 高知 326.9 14 佐賀 291.0 医師がいないと機能しません。
5 福島 214.2 5 鳥取 326.4 15 大阪 289.9 埼玉などは、ホテル業界にソッポを向かれ軽症者施設確保にも苦労
6 青森 214.7 6 岡山 320.8 16 大分 287.0 していますが、そこに駐在する医師の確保もできていない状態です。
7 岩手 215.4 7 長崎 320.7 17 鹿児島 281.6 他の都府県のホテル確保とは、似て非なるものとなっています。
8 静岡 217.2 8 福岡 319.4 18 愛媛 279.1 医師不足に苦しむ県は、国や他都府県に頭を下げ医師の緊急派遣を
9 神奈川 220.7 9 和歌山 311.8 19 広島 270.1 お願いしてください。
10 岐阜 221.1 10 熊本 302.2 20 山口 268.2 厚労省H30年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況
外出自粛、営業自粛に対する個人の行動にもミーイズムの弊害がみられ残念です。それでも知事はミーイズムに罰を振りかざすのみならず、自らお願いに行くべきです。また医療の窮状についても協力を求めるべき国や他都府県そして医師会などに対して、
率先して都民府民県民のために頭を下げ協力をお願いして回る姿を国民に示してください。
それが、真のステーツマンです。それが個人の心を打ち、行動をも適正化する力があると思います。
東京都は医師の数でも経済・財政力でも抜群の力があります。知事の発信力、行動能力も優れています。第二ラウンドにおいては東京都だけではなく、周辺の県にも支援をお願いします。東京の財政力は周辺の県の住民が支えている部分も大いにあります。
そして資源に余裕のある県を説得し「全国的な資源再配分協力体制構築」のリーダーシップをとって頂きたいと願っております。
第二ラウンドの各知事力は、「己を捨て、頭を下げて回れるか、そしてそれに応えられるか」で競い合って頂きたい。
要請する方も受ける側も両者ともにその県民を救うことになるのですから。
最後に、首相は、この各知事の取り組みをサポートして、いや時には強い態度で協力を求め、国全体を見渡した資源の再配分(アセットアロケーション)を行ってください。各県が如何に努力しても、調整の難しい局面はあります。結局は資源の需給が合わず、余る県と足りない県が併存することもありえます。首相の首相たる力は、国全体のために医療資源や自衛隊を含めた国力、資源の有効配分をすることではないでしょうか?事態はもうそこまで来ています。一度落ち着いても第2波が来ます。
今の医療現場は手いっぱいで大きなダメージを受けています。このままでは第2波にはとても耐えられません。国全体を見渡したコロナ迎撃態勢をつくり、国民を守ってください。助けてください。