昭和40年代後半までは、以外にも離婚に関する条項はほとんどみられず、平成10年代前半に至るまでにおいても散見される程度でした。
しかしそれ以降は、ほとんどの登記事例において離婚に関する条項は記載されるようになりました。「離婚のことを取り決めて結婚するなんて、考えられない!」から、現実を直視して、「あとで揉めるより、ずっと精神衛生上有益」「離婚条項が逆に、夫婦円満につながる」というような考え方へ変化しているのかもしれません。いずれにしても事例を見ると様々な離婚時の備えがみられます。
例えば、年金、慰謝料、夫の自社株の承継、子供の養育費などですが、変わったのもでは、「別居しても同居に向け努力する」というものもあります。現在の愛情が溢れるもので、初心を忘れないための契約といえるかもしれません。
財産に関するもので1例をご紹介すると「一方の不貞により離婚に至った場合、他方の配偶者は共有財産についてその5分の3の配分または1千万円のいずれかを限度に請求することができる。」「損害賠償請求権および慰謝料請求権の行使を妨げない。」「養育費の請求を妨げない」と非常に不貞による離婚に苛烈な内容となっているものもあります。以前ご報告した小嶋良右衛門のおむらに宛てた不離縁の担保証書のような位置関係を彷彿とさせます。これが夫婦円満のお守りとなればという願いも込められている気がします。次回はプレナップにおける年金の取り扱いについてご報告します。
離婚条項に関する夫婦財産契約の登記例。