フーテンの寅さんと終焉の地の自己決定権

昨日、フーテンの寅さんサラダ記念日をテレビで見ました。
小諸の一人暮らしのおばあさん(佐々木光枝)を病院の女医(三田佳子)が入院させようと迎えに来る場面で、「病院で死にたくない。この家で死なせてくれ」とおばあさんが懇願すると寅さんが、「俺も一緒に行ってやるから、行こうおばあちゃん」「寅さんが一緒に行ってくれるなら行く」と言って迎えの車に乗っていきました。
 「ここに一人で置いておくわけにはいかない」と言いながらも、「見納めだ」と車の中から自宅に手を合わすおばあちゃんの姿に、女医は最後まで苦しむことになるというシーンがありました。
 この映画は、1988年昭和最後の寅さんシリーズです。
 その頃すでに、自己決定権についての問いかけが、この映画でありました。
 尊厳死を考える上で、延命治療の可否だけでなく、何処を終焉の地にしたいかも大切なメッセージと言えるでしょう。
 寅さんがいない場合、誰が入院を説得し、またそれが正しいと誰が言えるのでしょうか。
 しかし本人の意思が明確に残されない限り、好むと好まざるとにかかわらず、病院で亡くなることになるものと思われます。
 50代60代への国境なき医師団のアンケート調査によると、どちらもエンディングノートには、延命治療の可否を書きたいという答えが1番だったそうです。
 もし項目があれば、何処を終焉の地としたいかも上位にランクされていたかもしれません。