一億総活躍社会の理念再考-橋本氏に期待する-

  • 安倍内閣が3年以上前に標榜した「一億総活躍社会」の理念は、若者も高齢者も、女性も男性も、障害や難病のある方々も、一度失敗を経験した人も、みんなが包摂され活躍できる社会を言います。
  • 高齢者差別(エイジズム)、女性差別(ジェンダー)、障害者差別、烙印による差別(ラベリング)の全てに配慮したものとして評価できるものですが、JOC事件はその実現が滞っていることを世界中に明らかにすることになりました。しかも女性蔑視を糾弾する返す刀で高齢者排除し、過去の失敗の蒸し返す人が多数となっています。「ジジイは引きずり降ろして、若手の女性がいい」「過去に問題を起こした人はダメ」。女性蔑視を声高に主張する人が同時に高齢者差別、ラベリングを当たり前のように行っていることに失望を禁じ得ません。
  • 辞職した森氏に更に鞭打つために女性蔑視発言を糾弾する署名をJOCに提出する聞きなれない女性活動家グループの姿が報道されました。今となっては最早、売名行為以外の何ものでもありません。問題の大きさからして、15万人分と少なすぎることがそれを物語っています。それを報道したマスコミは、エイジズム、ラベリングもまた差別であるという視点が欠けています。
  • 極め付けは、橋本聖子氏の政党所属を問題視する事件です。政治的中立がIOCの理念であることは、運営に政治を持ち込まないという趣旨ですから、橋本氏のJOC運営が政党色を排した中立性ある運営をすればよいのです。思想信条の自由は憲法で認められた基本的人権であり、内心の自由もまた然りです。もし橋本氏が政治的中立を逸脱する運営をするなら、形式的に政党に属さなくても問題ですし、政党に属していても政治的中立な運営をすれば、問題はないと考えるべきです。それは、国民が運営をチェックしていけばよいことなのです。然るになんと、立憲主義を党是とする政党が、先頭を切って、橋本氏に自民党離党を迫り、思想信条の自由を踏み躙ろうとする姿は自殺行為であるという認識を持つべきです。国の威信と国民の名誉を守り高めるために東京オリンピックの成功に大臣を辞して挺身しようとする橋本氏を国を挙げてサポートすべき時に、またしても党利党略で足を引っ張ろうとする人たちは、反省して協力する側に回って頂きたいと思います。
    既に離党届は出されましたが、 逆に自民党や橋本氏は、正々堂々と反論すべきであり、安易に避けて通るべきではなかったことを申し上げておきたいと思います。
  • オリンピックの主体である都知事の連続不祥事辞任に始まり、新国立競技場の設計やり直し、イメージキャラクターの盗作事件、東京決定のための買収事件、競技会場の変更騒ぎ、そしてコロナによる延期、JOC女性蔑視事件と「呪われた五輪」とも言われるほど問題続きのオリンピックです。さらにこれから開催まで、問題は山積です。コロナ対策も困難な問題ですが、もっと主深刻な問題は、一度離れてしまった国民の期待や関心を取り戻せるかです。このような歴史上類を見ない東京オリンピックですが、橋本氏は、これを成功させることができれば、正に英雄、女性初の総理大臣にまで駆け上がることができるのではないかと思います。ご活躍を祈りたいと思います。